商品企画の裏側を覗く【 キッズ食器「レカ」】


今回はドゥ・セーキッズベビーカテゴリーの「レカ」という樹脂食器シリーズの担当メンバーに、はじまりから発売まで紆余曲折あった企画の裏側のお話を聞きました。
※レカ:2019年10月末に発売したドゥ・セーオリジナルのキッズ用樹脂食器シリーズ。
yuri
deuxC事業部 商品企画 チーフ
タケ
deuxC事業部 商品企画 デザイナー
もと
商品計画 リーダー

発売まで紆余曲折、キッズ食器「レカ」のはじまり

もと:
はじめまして、商品計画のもとと申します。部署の責任者として、商品の仕入計画と在庫の管理をしています。レカの企画ではスケジュールの組み立てと発注を担当しました。
yuri:
deuxC事業部商品企画のyuriと申します。雑貨の企画チームで商品のデザイン監修・展開計画の作成と、併せて商品仕入れのバイヤー業務を行っています。レカの企画ではデザインの監修を行いました。
タケ:
deuxC事業部商品企画のタケと申します。私も雑貨企画チームで、主にインテリア・インテリアファブリックの企画デザインを行っています。1年半前まではキッズベビーも兼任していたのでレカでは企画デザインを担当しました。
もと:
ではこのメンバーで話していきたいと思います。確かレカの発売は2019年の10月末でしたね。


yuri:
1年以上前ですか…
タケ:
そんなに経ったんですね。
もと:
元々この企画は既存の樹脂食器をモデルチェンジしようっていうことで始まりましたよね?
タケ:
ドゥ・セーキッズベビーでは、長年トイボックスとかフラワーバード※といったシリーズを売ってきていましたが、キッズベビー自体の売上げがだんだん弱くなってきたのもあって、これを節目に商品を改廃していこうということで今回の企画が始まりました。※トイボックス・フラワーバード:ドゥ・セーで長年愛されたキッズ食器のシリーズ名。
もと:
うんうん。
タケ:
なので、せっかくやり替えるから今っぽさとかトレンドとか、これまでとの違いを出したいっていう思いがありました。
yuri:
デザインだけではなくて、形状自体新しくすることも含めて検討しようということになって、本当に1から始まりましたね。
もと:
結構手こずったよね(笑)発売ギリギリだった気がする。
タケ:
ギリギリどころか…(笑)


yuri:
元々の発売時期が2019年の7月末とかだったっけ。
当初は夏休みのお盆の帰省時期に合わせてっていう話でしたよね。
もと:
それが遅れてとにかくギフト需要の高まる年末までには間に合わせたいっていうことだったよね。
タケ:
かなり難航したので半年以上かかりました。話が長くなりそうです(笑)

全然違った最初のイメージ

タケ:
まず最初に、取り引きしていたメーカーさんのカタログの中から、気になる形状の食器サンプルを取り寄せることから始めました。ただ、届いたものを見てみると思ったより大きくて。ドゥ・セーが思い描いているキッズの対象年齢とメーカーさんが設定している対象年齢に差があったんです。なので、他の形状を持っているところをメーカーさんにあたってもらいながら、もう一度選び直してなんとか良い形状を見つけてこれで行こう!となったんです。
ここからデザイン検討に入っていきました。親子でごはんを食べている時に、食べ終わった食器に色々な動物が出てきて「これ何の動物かな?」って自然とコミュニケーションが生まれる楽しさをイメージしてて。そんなイメージから最初に出していた案がこんなのでした。


もと:
全然違ったんだね。
タケ:
そうなんです(笑)動物園をイメージして、葉っぱと色々な動物が出てくるデザインにしたくて。配色も、今まで青は男の子・赤は女の子っていうイメージがあったけれど、時代に合わせて男女関係なく使えるような色をもってきました。
実は、この案で商品サンプルを作ろうという所まで行ったんです。ただその段階で、今までの食器シリーズから大きくは変わっていないんじゃないかっていう意見が出たんですよ。全体に柄がちょこちょこ入っているのもあまり今っぽくないのではと。なので食器全体に大胆にモチーフが入るようなデザインの方向でもう一度考え直すことになりました。でもそうすると、柄の入り方に合うようにまた食器の形状から選び直さなくてはいけなかったんですよね。…というような感じでここまでで2ヶ月くらいかかってしまっていたんです。

実際に現場を見ることでたどり着いた最終デザイン

タケ:
またほぼ1から考え直して、デザインと形状を変更したのがこれでした。


 
特にプレートは、仕切りを跨いで柄を入れたら新しさが出るんじゃないかと思ってこんなデザインにしたんです。とにかくどーんとしたかったんです(笑)動物のフォルムもなるべく子どもが認識しやすいように丸とか三角といった単純な形を使ったり、配色は海外で流行っているニュアンスカラーを使ったりしてドゥ・セーにとっては新しいカラーリングに挑戦しました。
yuri:
このあたりでだいぶ最終のデザインに近づいてきたよね。
タケ:
ただここで更に問題が発生しまして…やりたいと思ったことと、実際に出来ることがなかなか合わなかったんです。例えばプレートの仕切りを跨いで柄を印刷するのが難しいということだったり、他にもいくつかありました。ここまでかなり色々と苦戦して前に進まない状態が続いていたのもあって、一度工場に伺って可能なこと不可能なことを確かめてこようという話になりました。現場の現状を知った上で、こんなことがやりたいと投げる方が話も早いですからね。
もと:
実際に行ってみてどうだった?
タケ:
やはり想像と違うことが多くありましたね。食器自体は機械で大量生産されていたので、塗装や印刷もある程度は機械で行われていると思っていたのが全て手作業だったんです。工程ごとに色んな職人さんを跨いでやっていて、食器の外側を塗装する職人さん、内側を印刷する職人さんというように役割が分かれていました。本当に少数精鋭で熟練の職人さん達の手によって作られていたんです。


yuri:
全部が1つ1つ手作業だったよね。何で出来ないかが実際に作業工程を見たことで、あぁだからかって納得できたんです。例えば色が2色重なっている部分は、1色ずつ2回に分けて色をのせているので多少ズレが生じてしまったり。
タケ:
そうなんです。こんなにも手間がかかっていることを初めて知りました。アイテムごとに印刷の手法も違ったので、なるほどなぁと本当に勉強になりました。
工場見学を経た上で、再度検討をし直しました。デザインはなるべく理想形から崩さず、省ける所は簡略化させてやっと最終のデザインに辿り着くことができました。ここまで本当に長かったです…(笑)
yuri:
いつ出来るのかなぁって思ってたよ(笑)でも今回実際に工場に行けたことは本当に大きかったと思います。現場を見て理解することでより良いものが作れるのと、お互いの思いも確かめられるので大切なことだと改めて実感しました。
タケ:
作って下さっている食器の産地が漆塗りが得意というのもあって、そういった文化を継承する、伝えていくっていう意味でも良い企画になったと感じます。こだわり抜いて作っているということを知ることができたので、自店の販売スタッフにもしっかり伝えました。
もと:
確かに、一見そこまで手間暇かかっているって思わないもんね。
yuri:
最初は大量生産で一気に作られている想像をしていましたからね。


いい商品ができたのはみんなで一丸となって進めたから

タケ:
こんな感じで何とか年末の発売には間に合いましたが、今回の企画スケジュールは通常ではあり得ないですよね。基本的に発売まで約半年で進めるのに対して、この企画は10ヶ月かかってしまって…ただ、キッズカテゴリーは頻繁に商品のやり変えをしないのもあり、長く売っていく必要があるので多少時間をかけてでも良い商品を作ろうと最初から決めていました。みんなで一丸となって進めていったので素敵な商品ができたのではないかなと思っています。社長も、これはいいって言ってくれました(笑)
もと:
でも本当にコンスタントに売れていますよ。冒頭でも話しましたが、キッズベビー全体の売り上げが落ちてきていたのもあって、初回は少ない生産数量で発注していたんです。けど発売後すぐ欠品しましたからね。販売スタッフからクレームが来ました(笑)その後何度かリピートをして、今累計で8300個くらい売れてるよ。
タケ:
え!そんなに売れてるんですね!
もと:
アイテムごとの売り上げの差もあまりないから、セットで動いているんだろうね。
yuri:
セットでギフトに選んで頂けるように単品の価格を下げて良かったですね。
もと:
メーカーさんに何度も価格交渉した甲斐がありました。



タケ:
こうやって自分がデザインしたものが多くの人に届くのは嬉しいことですね。この企画は学ぶことが多くて良い経験になりましたし、頑張った甲斐がありました。
yuri:
色々あったけど時間をかけて良かったなと思えます。このシリーズがこの先長い間お店で愛される商品でいてくれるといいですね。